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市民マニフェスト 2015年版

市民の声が生きる分権・自治のまちづくりをめざそう
-市民が主役の政策選挙を進めるために-

今年は4年に一度の統一地方選挙の年、4月には明石でも市長・市議の“ダブル選挙”が行われます。統一選前半の県議選も合わせると、自治体の4年間の方向を決める重要な選挙が3つ行われます。

明石では4年前2011年の選挙で、当時の市民団体・明日の明石市政をつくる会が「市民がつくる市民の政策」である「市民マニフェスト」をまとめ、立候補表明していた2名の候補予定者に公開討論会を求めて市民マニフェストへの対応を迫る運動を展開しました。前年4月に、明石市が自治体の‘憲法’である「自治基本条例」を施行してから初めての選挙であり、「市民参画」と「協働のまちづくり」「情報の共有」を掲げた自治基本条例に基づく本格的な「市民自治」の姿勢を築いていく重要な選挙でした。これまでの市政の体質や運営を根底から改めて、市民主体の市政とまちづくりを進めていくトップリーダーを選ばなければならなかったからです。

自治基本条例に基づき、明石市はこれから何を、どのように進めていくのか。市民マニフェストは明石のまちの都市像をイメージしながら、市政のありようを市民自らの手で市長候補と職員ならびに議員、そして市民に具体的に提示したものでした。

市長選挙では、市長候補に市民マニフェストを提示し、その課題と方向性をどのように実現しようとするのかを問い、市政を「負託」するに足りるかどうかを市民が判断する目安としました。3月8日に市民会館ホールで開かれた公開討論会には、候補者の一人が再三再四の折衝と要請にもかかわらず出席せず、その後の選挙で69票差で当選した泉房穂氏(現市長)と主催者側が2時間余にわたって意見交換しました。

泉氏は公開討論会で「市民マニフェストには全面的に賛成だ。当選すれば実現に努力する」と応えました。このため、討論会翌日に開いた主催者の会議では、「市民との意見交換にも応じなかった片方の候補予定者は、市民の参画、協働、情報共有を定めた市政のトップとしてふさわしくない」などを理由に「自治基本条例を推進するのにふさわしくない市長」を選ぶことのないように努力していくことを決め、告示日まで1カ月余の間、「よりふさわしい候補を選ぼう」と、市民に訴えるさまざまな行動を展開しました。

当選した泉市長は残念ながら、駅前再開発の抜本見直しやフェリー航路の再開などを求めた市民と市民マニフェストに反した市政を続けました。市民マニフェストを引き継いだ政策提言市民団体「市民自治あかし」は4年間の市政を検証し、昨年11月16日に市長を招き「市民マニフェスト検証大会」を開き、その評価に基づき多様な観点から検証意見を述べました。

市長・市議ダブル選挙を目前に控えた中で、私たちはこの4年間の市政を踏まえ新たな「市民マニフェスト」2015年版を提起します。

この市民マニフェストには、3つの目的があります。

  • 第1は、明石市が置かれている厳しい市政の課題に対して、主権者である市民自らが政策を考え提起する、自治基本条例に基づく市民の責任を果たすための、市民が政策を考える市民自治の実践です。
  • 第2は、市政と議会の改革を進めていくことを行政まかせにせず、市民参画の機会を大事にする。
  • 第3は、住民自治をめざす自治体では、市民が選挙に一層主体的に関わる必要があります。候補者を選ぶ基準を、市民自らが掲げて候補者に選択を迫ることから、市民自治の社会が始まります。