4月17日(金)夜6時30分(実際は5分後れて35分開始)より大久保駅南の産業交流センターで行われました。立候補予定者(以下「候補者」)3人が出席し、大塚伸二郎氏がコーディネーターを務めました。事前の抽選で、増田幸美氏、榎本和夫氏、泉房穂氏の順に着席しました。
JCの用意した質問が10問、そのあと3人によるクロストークが行われました。10問の内容はその順に、
- 自己紹介と市政に対する意見は?
- 最も重要とする政策を1つあげる
- 中核市移行への考えは?
- 財政健全化に向けての考えは?
- 子どもへの虐待、高齢者や障碍者に対する取り組みは?
- 市長の任免で教育長が選任されることになったが、教育に対する考えは?
- 中学校給食に対する取り組みは?
- 市民まつりの再開・復活に対する考えは?
- 中心市街地活性化の取り組みは?
- 自治基本条例に対する考えは?
それぞれの質問に各候補者が1分から3分の時間制限のあいだで意見を述べました。意見を聞いた私の印象としては候補者ごとに違いがありました。わたしたち会場参加者は入場の際、各候補者のチラシが1枚ずつあるのみで、質問の内容は、コーディネーターからそれぞれの質問が発せられるまで聴衆者にはわかりませんでした。
- 増田氏…自身の得意は、IT(情報技術)とそれを駆使した広報とし、市民との情報共有について積極的姿勢を示した。それに対して現市長の広報活動を不公正とした。財政健全化について「市民にも覚悟がいる」とし、フェアーな財政計画を立てるとした。直面する課題について、市民を含めた委員会や会議を設置して「直ちに協議したい」とする発言が数回あり、市民を参画させて市民とともに市政を進める意向があると感じられた。教育長の市長任免権には「危惧する」と表明し、人を育てることが市政の要であるとした。女性の立場で市政を進めると何度も発言があった。自治基本条例の見直しを行うのは当然とした。新人であるため具体性には乏しく、期待をどこまで持たせられるか? それは、議員経験者であっても榎本氏にも同様具体性が感じられない。私の所見にすぎないが、市政の要点についてはよく調べ熟知に近づいている印象をもった。
- 榎本氏…自身のキャッチコピー「創生」「いきたい」をそのまま、あるいは言い換えながら繰り返していたので連呼のようでもありました。明石港再生、商店街を元気にする、1万人雇用創出と、勢いのある言葉がマイクを通して3人のなかで一番大きな声がこだましました。教育長の市長任免については肯定的で、心技体のバランスを前置きして道徳教育の必要を説きました。市民まつりの再開・復活については、他の2者は「花火」と「市民まつり」を切り分けたが、榎本氏は復活スタートの意思を示した。中学校給食については地産地消による経済的効果を強調するなど、総じて産業振興主導による市政をめざしていると感じた。自治基本条例を見直す時期にあたっている認識に立つなかで「市民はこの条例をどれほど知っているのか?」と問いかけたが、”見直し”と市民の認知度とがどう関係するのか不明。問いかける鉾先は、市または議会ではないでしょうか。
- 泉氏…現職だけあって具体性はよく感じられた。障碍者への取り組みには自信をみせた。人口増、財政健全化では最も自己PRになるとみて声のトーンが高くなった。この日は終始赤ら顔でどこか興奮しているようにみえた。民間所有地であったフェリー跡地を市が購入するには10億円かかる、その購入選択をしないで、子どもの施策に費用をまわした、と発言した。給食センター建設予定地の騒動についてはその指揮と不明に対して詫びた。そのうえで、安全性と建設費用の面から、新たな候補地ではなく現在の候補地で早期の実現をめざすとした。住民投票条例は”当選”したら直ちに議会にかけたいと発言した。駅前再開発にかけられた費用は「巨額」との認識に立ち、国負担も税金ではあるがそれも認識した上で市民の負担を減らしたとし、市民の意見を取り入れた結果が図書館だとした。中心市街地活性化への取り組みは「駅前」だけに言及しその他の話はありませんでした。
以上の質問時間は20時前に終了し以後3人によるクロストークが行われました。
- 榎本氏は泉氏を被質問者に指名し「弁護士をなぜ7人も採用したのか」と問うた。質問意図は”多すぎる”だったのだろうが、泉氏はこれを好機ととらえ「<弁護士資格のある職員>として採用したのであって報酬は他の職員と同じ」とし自己PRのチャンスとした。
- 泉氏は榎本氏を指名し、県会議員として発言回数の少なさ、政務調査費の一部を返還したことについて、その説明を求めた。榎本氏は、副委員長の職責にあったため発言機会がなかったこと、政務調査費は単純なミスと説明した。
- 増田氏は泉氏を指名し、給食センター建設費用で”無駄”となった2億円の責任について説明を求めた。泉氏は責任のすべては市長である自分にあるとし、今の候補地で建設を継続するのが次善の策になるとした。
予定では各人1回のクロストークと事前予告されていましたが、時間に余裕が出たので、もう1回追加されました。
- 泉氏は増田氏を指名し、市民自治あかし主催討論会でも出された台風10号関連の危機管理について間違えられたままのチラシが作成されているとし説明を求めた。増田氏は間違いを認めた。危機管理については増田氏の持論を展開し、一時泉氏と論争になった。
この論争によって、榎本氏がクロストークの中断を求め、クロストークは終了となりました。
閉会前、JCは次の質問を向けました。
4年後(2019年)明石市100周年、明石城築城400年となる。その翌年は東京オリンピックがある。これをどのように迎えるか。これに対しては各候補とも即興的な対応となり閉会した。閉会時刻は予定の20:30を少しオーバーした。閉会時の参加者は200人前後か?
以上
報告者/山田利行
コメント
客観的、公平な公開討論会レポート、ありがとうございました。
討論会の論点はいろいろありますが、「自治基本条例の見直し」についての3候補の発言で、「見直し」には2つの方向があることが分かった。一つは、榎本氏に代表される市民参画、情報公開等の市民主体のまちづくりと行政を後退させる「見直し」。もう一つは、やや具体性を欠いているが泉氏や増田氏の発言の中からうかがわれるように、市民参画と情報共有を一層定着させ、市民自治を発展させる方向への「見直し」だ。
自治基本条例の市民自治への方向は、断じて後退させてはならない。
同じことは、議会改革についても言える。クロストークで榎本氏は、3月11日付け神戸新聞で公表された県議会議員の4年間の発言回数が14回と、最高300回台がある中で、実質的に全議員中最下位だったことの説明を求められて、「2年間は常任委員会の副委員長をしていたので、発言を控えた。14回は2年分の数字だ」と説明したのには、苦笑せざるを得なかった。議員の本分は「議論に参加する」ことだ。副委員長は発言を控えるという決まりはないはずで、委員長だって自分の意見を述べることもある。2年分を2倍に引き延ばしたところで、最下位グループになる事実を前に「議会で何をしていたのか?」と首をかしげざるを得なかった。
選挙後の時期外れの所感です。
JCの傍聴記、的確な記述で分かり易く出来てます。投票の一助となりました。クロストークを榎本候補が終了させたのは明らかに越権行為、自分の庭と勘違いしてます。いつも思うのですが、言葉の空中戦では無く数字等を挙げより具体的に語って欲しいものです。新人側に具体性が欠け弱い意見となりました。現職主張を突き崩す程の討論を期待するのは無理ですか。
最悪の選挙結果とならず安堵しました。現職の強さは予想外でした。開票後の榎本候補の弁「自民支持が多いのに票が来ないのは納得できない」には驚きました。当面、目はないでしょう。生活から抜け落ちて行く政治行政を如何に密着させて行くか、大きな課題です。一部の人のお祭り騒ぎでは将来暗いです。