forからwithへ

 市民(シティズン)として求められる素養のうち社会的な参加の側面では、ボランティア活動の学びに着目したボランティア学習を挙げておきたい。具体的なアクション(社会への関与)によって社会は変わるという事実を理解することが重要だからである。
 社会に参加・参画し創造するということは、ボランティアが単なるお手伝いではないことを意味している。ボランティアは奉仕と訳されることがあるが、両者の意味は異なっていることも強調しておきたい。というのも、日本でボランティア活動を奉仕活動と同じ意味で使っていたのは1970年代くらいまでであり、この時期を境にして「~ために」(for)と「~とともに」(with)へと変容したからである。ボランティア活動はforという一方的な支援ではなくwithつまり共に歩む、共生を体現するものとして捉えるのが本質である。

左は「奉仕」(白川静『常用字解 第2版』より)

 ちなみに「奉」は上部に「手」という字が左右反対向きに書かれ、貢ぎ物(中央下の部分)を差し出している姿、「仕」は「士」(偉い位の人を表す部分)の横に立っている人(人偏)、つまりお仕えする人を表している。いずれも下の者が上の者に相対する構えを表しており上下関係を含んだ意味となる。ボランティアは「自由意志」を表す言葉が語源であるから明らかに違う。したがって、ボランティア活動の4つの特性

  1. 自発性・主体性
  2. 無償性・非営利性
  3. 公共性・公益性
  4. 先駆性・開発性・創造性

のうち、4が社会開発・社会創造に関わる要素であり、自ら無償で誰かの役に立つ(123)という意味だけではない。

『社会を変える教育』p15-16 長沼豊/執筆 2019年 キーステージ21/発行
※上記、箇条書き部分は、見やすさ優先で改変しています。