住民投票条例案「請願」 総務常任委員会 陳述書 2015.12.14

市民自治あかし 代表世話人 松本誠

1.本請願の趣旨

本条例案は、請願書に添付した「市長への抗議と修正を求める要請書」に記載の通り、住民投票条例案の提出経緯から、市長の対応は明らかに「市民への説明責任が欠落した、不公正で、非誠実な変更」を行っており、市議会の会派あるいは一部の議員との間で、疑惑を生みかねない「不明朗な裏取り引き」が行われたことに、大きな問題があります。

したがって、条例案の審議にあたっては、条例案の策定過程におけるこうした不明朗な経緯の解明を行い、自治基本条例と議会基本条例に恥じることのないよう、慎重な審議を行っていただきたいというのが、請願の趣旨です。

私たちは議会での審議が始まる10日前に、市長に対して「市民への説明会」を開くよう要請しましたが、何らの対応のないまま、議会での審議が始まりました。市長が市民への説明を行うことなく、このまま条例が制定されると、議会としてもこのような不明朗な経緯を是認したことになり、将来に大きな汚点を残すことになります。

したがって、今議会ではこの条例の採決を行わず、継続審議または議案の差し戻し、あるいは撤回を市長に求めていただきますよう、お願いします。

2.本会議の一般質問で明らかになった問題点
(1)

条例検討委員会の答申に沿った条例素案を10月1日に発表し、パブリックコメントを市民に求めたにもかかわらず、11月24日の議運委への条例案提出の直前に、条例の最も重要な項目である「住民投票請求の際の署名数の要件」を「8分の1」から「6分の1」へ厳しくするよう変更したことについて、市長はこのように答弁しています。

「市民の意思である答申通りにしたかったが、9月議会等における議会の意思とのバランスを図った」

さらに「市長として二元代表制を尊重して、市民の意思と議会の意思を総合的に尊重した」とも言っています。「議会の意思は=市民の意思」という発言もありました。

住民投票条例は、間接民主主義(議会制民主主義)を補うための直接民主主義の重要な制度です。「議会の意思が、すなわち市民の意思」というなら、住民投票条例の制度は不要になってしまいます。

また、二元代表制は、「市民の意思を代表する市長」と「市長の行政をチェックする議会」が市民の前で議論を尽くし、合意形成を図って「議会の意思」を決定する仕組みです。泉市長の繰り返しの答弁では、まるで市民の意思と議会の意思を調整して、市としての意思を決定するのが市長であるかのように説明しています。これでは、市長が議会の上に立つような考え方になり、議会は著しく軽視されていることになります。議会は、このような市長の答弁を許していて、いいのでしょうか?

(2)

さらに大きな問題は、泉市長の言う「議会の意思」です。住民投票条例について、議会の意思は未だ示されていません。多様な意見を持つ30名の議員が存在する「議会の意思」は、条例案が提案されてから、本会議や委員会で審議し、決定されるものです。

泉市長のいう「議会の意思」は、9月議会における委員会での個別議員の発言や、予算関係についての会派との懇談における意見に過ぎません。個別議員の意見や、特定の会派の意見は決して「議会の意思」にはならないことは、明明白白です。

すなわち、市長の答弁は、議会の意思を決定する段階で有力な勢力になる議員や会派の意見におもねり、議案提出の土壇場で市民に公表していた条例の内容をひっくり返したことを、自ら吐露していることになります。

市長が議案を提出するに際して、議会の与党的立場にある会派や、多数派の議員に「根回し」し、議会で可決してもらえる内容に修正することは、旧来型の「根回し行政」では、ごく一般的に行われてきたことです。泉市長は、そのような旧来型の行政姿勢を踏襲しただけかもしれませんが、2つの「大きな間違い」を犯しています。

1つは、明石市は自治基本条例の第10条によって、市長は「公正かつ誠実に市政運営を行わなければならない」こと、さらに「市民ニーズを的確に判断し、説明責任を果たさなければならない」という責務を課せられています。明らかに、この責務から逸脱した違法、違憲で不明朗な行為です。

もう一つは、こうした裏取り引きや根回し行政は、議会基本条例の第2条、3条、8条に定めた「議会活動の公正と透明性を確保すること」「言論の府、合議体として、議員相互の自由な討議を重んじ、合意形成に努めること」さらには「二元代表制のもと、市長等と常に緊張ある関係を保持すること」に、いずれも著しく反していることです。市長自らが議会基本条例を犯す行為を行い、これに関わった議員や会派も議会基本条例に違反することになるからです。

以上のような問題を含むこの条例を、このまま可決することは、市長の犯した罪と同じ罪を議会も犯すことになり、明石市議会といま議会を構成している議員の皆さんが、後世に残る汚点を記すことになりかねません。

この委員会に市長が出席していません。本会議で泉市長は「この問題は市長に説明責任があり、私自身が答えるべき問題だ」と明言しています。庁内では、条例案提出直前の内容変更は「高度な政治判断」と受けとめられており、市長自身が不明朗な内容変更を説明するべきです。議会も市長の出席を求めて審議しないと、腰が引けているという批判も浴びることになります。

ぜひ市長の出席を求めて、不明朗な変更の経緯を解明してください。

なにとぞ、賢明なご判断をしていただきますよう、お願いします。